自然災害データブック 2007
分析と概観 2008年3月

Natural Disasters
Data Book - 2007


(An Analytical Overview)
March 2008


自然災害データブック2007
2007年世界における自然災害発生状況調査
はじめに
  近年同様、2007 年もまた世界中で多くの災害が発生しました。バングラデシュで発生したサイ クロン、シドルによる暴風、洪水は、この年最多の死者数をもたらしました。また中国や南アジ ア諸国で起こった洪水により、非常に多くの人々が影響を受けました。経済被害額の点では、日 本を襲った地震が最大となりました。こうした結果、2007 年は近年アジア地域が最も深刻な被害 を受けた年となりました。他の地域に目を転じると、アフリカ地域では、干ばつ、洪水、疫病の ために大きな影響を被りました。アメリカ地域で発生した洪水、暴風は、人的被害及び経済的被 害の主な原因となっています。ヨーロッパ地域、特にイギリスでは、異常気温、洪水により多数 の人命が奪われ、また多くの被災者を出しました。オセアニア地域では、洪水、暴風に加え、ソ ロモン諸島における地震、津波の被害を受けました。

  自然災害が世界各地で発生し、その重大な被害は、多くの社会、経済、ひいては地球環境に対 し深刻な結果を生じています。自然災害の頻度、規模は著しい増加傾向にあるといえます。開発 途上国では災害による経済損失額は、対GDP 比で大きな数字となっており、かつ全体額として近 年急上昇していることから、持続可能な開発への大きな障害となっています。自然災害による被 害は、不安定な経済情勢と絡み合って、開発途上国の発展に負の影響を与える要因となっている ことは明らかです。地域別には、過去32 年間の統計を見てみると、アジア地域が、世界の中で最 も災害による影響を受けた地域であり、世界全体の被災者数の約90%、死者数と経済損失額の約 50%以上を占めています。

  このように、発展の妨げとなっている自然災害に立ち向かい、効果的な防災メカニズムを構築 するためには、過去の災害を分析し、災害の傾向を把握することが必要不可欠となっています。
アジア防災センターでは、2007 年に発生した自然災害のデータを集め、その傾向を分析して本書
を作成いたしました。この冊子が政策立案者、研究者のみならず、様々な開発活動に携わってお られる方々、また草の根レベルで活躍されておられる方々にもご活用いただき、世界の持続可能 な開発の一助となることを切に願っております。

2008年3月


目  次
はじめに
   世界の地域区分
第一章
自然災害のインパクト
1-1 自然災害による被害の傾向と特徴
1-2 アジア地域の脆弱性
1-3 経済的小規模国の脆弱性
第二章
自然災害と持続可能な開発
2-1 人間開発と自然災害
2-2 ジェンダーと自然災害の影響
2-3 経済と自然災害の影響
2-4 災害の分類と開発への影響
第三章
地域別にみる自然災害の特性
3-1 世界で発生した自然災害の地域別割合
3-2 世界で発生した自然災害の地域特性
3-2-1 アフリカ地域の特徴
3-2-2 アメリカ地域の特徴
3-2-3 アジア地域の特徴
3-2-4 ヨーロッパ地域の特徴
3-2-5 オセアニア地域の特徴
第四章
アジア防災センターメンバー国とその他のアジア諸国における自然災害の概要
4-1 災害の種類とアジア防災センターメンバー国とその他のアジア諸国における影響
4-2 アジア防災センターメンバー国とその他アジア諸国での災害の特徴
4-3 結論
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