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Asian Disaster Reduction Center(ADRC)
メンバー国防災情報
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国の概要

の地図 ネパール連邦民主共和国(Federal Democratic Republic of Nepal)
東、西、南の三方をインドに、北方を中国チベット自治区に接する内陸国。中央・北部はヒマラヤ山脈と丘陵地帯、南部のタライ平原から成る。国土面積は、147,181平方キロメートルで、人口は2,660万人。様々な民族、人種、言語が共存する。ネパールには6つの季節があり、雨季は6月~8月、冬は12月~2月である。首都はカトマンズで、人口は約300万人。
ネパールは、仏陀の生誕地であり、標高8,848メートルのエベレスト山からタライ平原にある60メートルの丘陵まで多岐にわたる。

災害の傾向

干ばつ、地震、伝染病、異常気温、洪水、地すべり、火災(家屋及び森林)、風害、異常低温、風害がある。洪水、地すべり、火災がよく発生する。またインドプレートとユーラシアプレートの境界近くに位置することから地震の影響を受けやすい。

過去の主な災害

2008年8月 洪水

2008年8月17日から降り続いた豪雨により20名以上が死亡、50名以上が行方不明、200名あまりが負傷した。15万人あまりが被災し、20,000軒の家屋が全壊した。被害総額は30億ドルに及んだ。

2014年8月 地すべり

2014年8月2日、豪雨による大規模な地すべりが発生。8月6日に捜査が打ち切られ、156人の死亡が確認された。また地すべりによりスンコシ川に流れこんだ土砂により、堰止湖が形成された。これにより政府当局は、堰止湖が決壊し、鉄砲水が発生する可能性が高いことから、インド・ビハール州を含む下流地域の住民数千人を避難させた。

2015年4月 ゴルカ地震

2015年4月25日の土曜日、ネパール国においてマグニチュード7.6の巨大地震が、また5月12日にはマグニチュード7.3の余震も発生した。これら地震により、8,790人が亡くなり22,300人が負傷した。また建築物は498,852の一般家屋、2,656の政府系建物が崩壊した。(引用:“Post Disaster Recovery Framework” published by Government of Nepla, May 2016)

防災体制

法制度

自然災害救援法(Disaster Calamity Act):1982年に制定。ネパールにおける防災の基礎となっている。すでに1989年と1992年に2度の改正を行っている。当初制定された1982年の自然災害救援法は、災害対応に焦点を当てたものであったが、現行法では、災害への備えや被害軽減のための能力向上へ向けた包括的な災害リスク管理により焦点を当てている。
地方自治法(Local Self-Governance Act):1999年に制定された本法は、環境に配慮した開発管理のための地方分権化の枠組内で地方自治の概念が推進された。本法は開発、環境、災害の間の相互関係に重点を置いている。また地方政府に対して、地方の開発プロセス全体を地方主導で行うよう働きかけるものである。郡開発委員会(DDCs)、地方自治体、村落開発委員会(VDCs)は気象災害、専門家・スタッフの育成、コミュニティ防災の実施を含む防災計画の準備を行うなど、積極的に取り組んでいる。
ネパール国家建築基準(Nepal National Building Code):より安全な建造物の建築を目指し、1993年に国家建築基準(National Building Code)が策定された。地方自治体とVDCsの当局は、都市開発・建築部の技術指導のもと、本基準の遂行を求められている。
国家防災戦略(National Strategy for Disaster Risk Management):2009年に策定。同戦略は、全セクターに対し、防災プログラムの準備や各開発計画に防災を主流化させるための政策決定を形成するために、各セクターへのロードマップを提供するものである。HFAの各優先行動に沿って特定されたギャップや課題を元に、本戦略はネパールにおける防災戦略を提案・推奨している。

防災組織

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中央自然災害救援委員会(Central Natural Disaster Relief Committee)が、さまざまな機関の防災協力についての調整を行っている。内務大臣が議長となり、36人のメンバーから成るCNDRCがネパール政府に被災地における非常事態を宣言する権限を有する。また救援、普及に関する国家政策や予防・対応・復興プログラムの策定と見直しの権限も有する。

防災計画

第12期国家開発計画は、インフラ整備事業において、環境影響評価と自然災害評価研究を実施することが義務付けられている。本計画は、災害課題を異なる開発計画・プログラムの中に主流化することにより焦点を当てている。第12次計画における防災に関する条項の目的は、持続可能で確実かつ効果的な開発・建設事業の実現、一般市民の安全な生活の維持である。したがって同計画では、国内機関および国際機関との連携のもとでの総合情報システムの構築、信頼性の高いデータベースの構築、5地方における十分な救援物資の備蓄、国内消防規則の作成、ハザードマップに基づく地すべりリスト・震源地マップの作成、あらゆる種類の災害に関する情報の一般市民への即時提供などが達成すべき計画として盛り込まれている。
郡災害準備・対応計画(District Disaster Preparedness and Response Planning)地方防災計画(Local Disaster Risk Management Planning)郡防災計画(District Disaster Management Planning)といったガイドラインは、郡の全てのレベルにおいて緊急対応への備え、備えから対応、備えに関するガイドラインの形成を目指している。これらは郡の管理者、関係者、住民が災害の異なるサイクルにおいても活動を円滑に管理するためのガイドラインである。これらのガイドラインは異なる省庁が作成したものであることから、これらを統一し、郡レベルでの一貫した政策を作成中である。
国家災害対応枠組(National Disaster Response Framework)は、政府及び非政府機関の役割と責務を明示した国家災害対応行動項目を作成することにより、効果的な調整、災害予防・対応活動の実施に備えるものである。
気候変動政策(Climate Change Policy)(2011)は、気候変動による影響軽減及び適応活動を通じて人々の生活を改良することを目的としている。ネパール政府は、HFA、NSDRM、提案されている防災法の間の制度に関するギャップを埋める目的のもと、内務大臣を議長とする国家リスク削減コンソーシアムを2009年に設立した。地方適応行動計画(National Framework on Local Adaptation Plans for Action, LAPA)に関する国家枠組は、LAPAの備えと実施を推進し、気候変動適応を地方と国家計画に組み込む狙いがある。

アジア防災センター協力機関