Total Disaster Risk Management
- 優良事例集 2006 増補版 -


はじめに

 近年、世界各地で自然災害による被害を受ける人の数はますます増加しています。
 一昨年のインド洋大津波では甚大な被害が発生し、さらに、昨年10月にパキスタンで起きた南アジア地震では、パキスタン・イスラム共和国とインドおよび周辺地域の多くの人々が犠牲となりました。世界中の災害被害者の90%近くがアジア地域の住民が占めているという事実に目を向けることが重要です。

 一方で、こうした災害がきっかけとなり、地域の結束の必要性について真剣に考えようと言う意識が高まりました。災害の発生直後から、災害の備えと対応への支援活動が世界各地に広がっています。災害の低減と防止には全ての人々の関与が必要です。
 そしてまた、組織的に構成された全住民の参画が必要となるのです。住民が受ける災害被害を低減するためには、国内外の人材および資源が必要なのです。

 アジア防災センターでは、科学分野における災害対応能力の開発支援を続けていくだけでなく、防災の社会的要素への関心をさらに深めて行くつもりです。
 アジア防災センターは、神戸の国連人道問題調整事務所および国際復興プラットフォームと協力関係にあり、また、アジアにおける多くの関与者とも連携を取っています。
 アジア防災センターは、こうした協力組織と連携して、「総合的な防災政策」として知られる、災害リスク低減のための全体的な取り組み方法を作成しました。

総合的な防災政策の概念とその優良事例が分かりやすく紹介されたハンドブック「総合的な防災政策:優良事例集」は、2005年1月18日から22日まで神戸で開催された国連防災世界会議のために発行されました。この「優良事例集 2006 増補版」には、防災関連の関与者と知識を共有し、世界規模での災害リスク低減に貢献するためにアジア防災センターのメンバー国から提出された優良事例が掲載されています。

 今後も皆さまからの様々な優良事例の提供をよろしくお願い申し上げます。今回の増補版の発行によって、総合的な防災政策の取り組みがいっそう盛んとなり、より安全な世界を構築するための活動に対する貢献に弾みがつくことを願っています。


序文 

目次 

1.アルメニア
 農村地域のかんがい用ダムの安全性

2.インドネシア
 Case I  地震発生後の流言による住民の混乱を静めたインドネシアでの事例

 Case II インドネシア西ジャワ州および西スマトラ州における土砂崩れ災害時の即応体制

 Case III  西スマトラ州(インドネシア)での、地震と津波に対する緊急事態管理
        および非常時対応計画の作成に関する地方自治体の強化

 Case IV  メラピ火山付近の地域における優良事例:コミュニティも主役の一員である

 Case V  地震に対する学童の意識向上:インドネシアでの実例

 Case VI  地域に根ざしたコミュニティ基盤の災害リスク管理訓練によって
        ニアス島からシボルガに避難していた住民を帰島させた事例

3.韓国
  韓国における、風水害保険プログラム

4.モンゴル
 有効な予防活動による鳥インフルエンザ対策の効果

5.シンガポール
 ライオンハート(勇猛果敢)作戦

6タジキスタン
 Case I  緊急事態即時評価・調整チーム(REACT)、タジキスタン

 Case II  サレズ(Sarez)湖の防災プロジェクト、タジキスタン

7タイ
 地域社会に基づく避難の仕組み

巻末

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